未熟な道のり

忘れてしまうということ.


時代の潮流にしたがって毎日は更新され続けている.


懐かしい歌を聞いて,
昔,それを聞いて歩いた街並みを思い出して,

あれは,とてもぼんやりとしていて,

僕は何も縛られるものがなくて,
生温かい風を感じながら,
こんな風にどっぷり音楽に浸れる時間に幸せを感じながら,
心の仕組みをずっと考えていた.


人と違う部分.
僕に理解不能なところで人と人とが分かり合っていて,
親密になったりしていることを不安に思っていた.

人と違う部分.
だけど,僕はある瞬間にぐっと胸をつかまれるような衝撃的で,
ドキドキしてわくわくする実感を繰り返していて,
そこに普遍的な何かを確信していた.

だから,大抵のことは取るに足らないことだって自分には言い聞かせて,
毎日を受け入れた.


頭ではこうしなきゃと考えながら,
心では何もかもがどうでもよくて,
大切な人はだれもいなくて
全ての人が大切だった.

あの頃に戻ることはできなくて
毎日は更新され続いている.

あの頃と同じ曲をやめて,
耳慣れた歌声の他の曲へ変更する.


素晴らしいものはきっとこの胸にある.
たまにそれを思い出しながら,
今なお未熟な道のりを進んでいくのだ.