無駄の魅力

知らない街を走ってく。ストーリーの中で。いつも同じ所に落ち着いているような錯覚。初めに想ったものはきっと一番素敵。もっと頑張れるはずだったけど、今はこれが一番だったと思う。本の世界で遊び、海面を漂う光の粒々だ。そして少ししたら窓の外を眺めて、灰色に疲れたような冬の風。好きな作家は大崎善夫。透き通った言葉と恋の色。寒くて雨も降った。どうだって構わないが口癖の僕に暖かな熱をそそぎ込んだロイヤルミルクティ。甘いミルクに甘い映画。イングリッシュペイシェントは昔の空から落ちてきた記憶。愛は痛み。心で全ては語られる。のぞき込めば深い闇。音を聞いて言葉を知り、何度も繰り返して青空を描く。くそみたいな言葉に胸を痛める義務などないさ。新たなる荒野へと踏み出せ、ロックンローラ。繰り返し生まれ来る心の影。青春の影。初恋は何度もよみがえる。それは苦み。退行は許されやしないさ。生み出せ、言葉とメロディ。空に浮かべて街を見下ろせ。森を畏れた今は昔に想いを馳せて。もう一度スタートラインについてゴールラインを探す。必要とされない虚しさを肌で感じながら。ここからトラックをめぐってデジャヴは続く。何を探す?僕自身を知るために僕以外を、僕以外を知るために僕自身を掘る。五万年前まで続くストーリーは美しく醜くあった。何を目指す?退行は許されない。同じようなレールの上で流れゆく街の景色だけが変わる。匂いは少し腐敗を帯びていたが、それでこその今だ。シーンは新たな展開を見せる予定で、何かは過ぎ去る予定だ。期待と不安のコインを投げる。高く。高く。鳥は笑うし、笑える。嘆きの唄。歌い続けた人間。