魔法

エリンギを裂くような形で,自分の周囲から何かが剥がれていく.ちっぽけな出来事が何故か胸に染みる.毎日何があるわけじゃないのに,毎日違う.宙ぶらりんのまんまが続いていて,どうにかしようとする前に何もしないで寝てしまう.
さびしく風を受けるだけの日もあれば,風の中で何かが見つかったように感じる時もある.歌に飽きてきた頃,本を読んだ.
手塚治虫火の鳥を読んだ.未来編と復活編.どちらとも空想の度合いが半端無い.ストーリーとしても,読んだ後に残った感傷にしても,この二つには確かなつながりがあるようです.空想の世界の確からしさがやばい.歴史の教科書の未来編のようだった.
そして,プロフェッショナルの撮りだめされていたやつのいくつかをみました.ソムリエや宮大工,外科医など,この人たちだけが特別頑張っているわけでなく,何かしらの結果を残したがゆえの特集のされ方であるとはわかっているけれど,間違いなく素晴らしかった.仕事を極める,何かに特化することの強さを感じました.
また,今はヘルマン・ヘッセの’車輪の下’を読んでいて,これはこれで素晴らしいです.未だ観ぬヨーロッパ的風景の詩的描写の連続,これには骨が折れますが,これこそがこの本の魅力の一つであるということはなんとなく感じます.もうすぐ読み終わりますが,どういった話の展開が見られるのか,予想できません.
読みながら,久しぶりにポール・マッカートニーの’Driving Rain’を聞きました.4,5年前の作品で(確か冬),てことはポールは結構な歳だと思うのですが,この期待の裏切らなさは何なのでしょうか.若い頃の作品はあまり知りませんが,このアルバムでもう十分だって思います.てぐらい魅力が一杯に詰まってます.
そして,初恋の嵐.久しぶりに聞いたけど,やはり良かった.聞きつくしてるのにまだ聞きたいって思うのは,声の魔力か.言葉は今も変わらずに輝き続けているようです.
’現実的な見方をもっても夢は見れる’   中村一義,’魔法を信じ続けるかい’より.
言われてしまいましたよ.